「FILCO」のダイヤテック破産は2006年の為替予約とコロナ後の需要減
パソコン用キーボード「FILCO」ブランドで知られるダイヤテック株式会社が4月22日に事業を終了し、往年のPCファンを悲しませたが、東京商工リサーチ(TSR)の記事によると破産の背景は為替予約(デリバティブ)の失敗と外付けキーボード需要の減少だという。
特に気になったのが2006年、2007年の為替予約。「必ず円安になるので、為替の予約をした方がよい。今なら1ドル110円で予約できます」と勧誘されて5年間1ドル110円程度のレートで為替予約した。直後にリーマンショックが発生して1ドルは70円台。途中解約して清算金を払ったが5億円の負債が生じたという。
リーマン直前の罠:2万社を巻き込んだ「為替デリバティブ」
この時期は金融機関がしきりに為替予約等の為替デリバティブを勧めており、2008年に駒沢大学が資産運用で始めたデリバティブ取引で154億円の損失を出し、キャンパスを売りに出さざるを得ない一歩手前まで追い詰められる巨額損失事件などが発生した。リーマンショック前、為替デリバティブ商品は70%以上を大手銀行(三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行など)が販売し、約2万社が購入。あまりに被害が多いことから国は2009年に金融商品取引法等の改正を行い金融ADR(裁判外紛争解決手続)を設立した。裁判に比べて費用が安く、短期間で柔軟な解決が期待できる国の制度である。
これによって資金繰りが悪化したものの年商10億円で安定しており、コロナ禍の巣ごもり需要でキーボードが売れて負債のい圧縮が進んだもののコロナ明けの反動でキーボードが売れず、タブレットの普及や安価なキーボードの流入で2023年から業況が大幅に悪化し、2024年には年商4億7141万円まで落ち込み返済が難しくなったようだ。
社長親族の経理部長も過去3年間の未払い給与(約885万円)を放棄、退職金も放棄するとのこと。
FILCOの「Majestouch」は良かったが時代は変わった
……まさか20年前の為替予約のダメージが20年後にトドメを刺しに来るとは。ただ、FILCOの「Majestouch」は良かった十何年か使えた。出来も良く堅牢性も高かった。でも、商売として考えると買い換え需要がなさ過ぎたように思う。
あとFILCOが流行ってた時はパソコン好きや1日中タイピングするプログラマーやライターが1万円から2万円の高価格帯キーボードを買ってた。当時の需要はメカニカルキーの打鍵感や静電容量無接点方式の指の疲労軽減だった。でも、今はミリ秒単位の応答速度が必要なゲーマー向けキーボードが高価格帯キーボードの主役。そしてメカニカルキーボードは中華製品の台頭で安くなった。
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