• HOME
 >
• ゲーム
 >
• PS3
 >
• 戦国BASARA3の大谷吉継は偏見・差別を生む表現をしている

　戦国時代の武将を大胆にアレンジしてたことで大ヒットした戦国BASARAシリーズ最新作PS3/Wii『戦国BASARA3』に登場する大谷吉継が問題になっているようだ。

　2月16日に日本ハンセン病学会が『戦国BASARA3』について要望書を送付。要望書には、ハンセン病患者であると信じられている大谷吉継が全身包帯姿で、重い病に侵された不幸から他人を呪っている。このような内容はハンセン病患者や回復者の人権や心情を傷つける可能性がある。

　また、中高生のようなハンセン病に関する知識をほとんど持っていない人達にハンセン病に対する誤解や偏見・差別を招くとして、戦国BASARA3における大谷吉継の表現を避けて頂きたいという内容だ。

　PS3/Wii『戦国BASARA3』の大谷刑部は、正直、大谷吉継直系の大谷家があれば苦情があってもおかしく無いレベルの悪人キャラクター設定。特に友情に殉じた義人を全ての人間を呪う悪人キャラクターに歪曲したのは酷かったが、日本ハンセン病学会から要望が来たとなると大谷刑部の設定変更の必要性はあるように思う。

　大谷吉継の病気は当時のらい病。恐らくハンセン病とする説が一番有名なのはほぼ間違いないだろう。

　そして、問題となっているハンセン病について軽く触れておくと、ハンセン病は患者を終生隔離する癩予防法の成立やハンセン病を根絶する為、男性患者には生殖能力を無くさせる断種。妊娠中の女性患者は堕胎させられるなど酷い扱いを受けていた。

　ハンセン病患者の胎児や新生児のホルマリン漬け標本114体が残っていた胎児標本問題が2006年5月8日のNHKクローズアップ現代で報じられ、6月14日にハンセン病療養所の入所者代表に国が初めて謝罪したこともあった。ハンセン病は遺伝病ではないので、これらは国家による殺人と言えるものだった。

　そういったごくごく最近問題にもなったハンセン病について誤解を招くと言われれば配慮せざるを得ない。注意書きで済ませるのか、設定やセリフを変更するのか、かなり手を加えてキャラクターを変更するのかはカプコン次第だ。

　ただ、ゲーム発売後に問題になっていたら取り返しがつかなかったが、今、要望書という形で出されたことはカプコンにとっては良かったのではないだろうか。発売後に謝罪を要求されていたら、ニュースになっていた可能性もあっただろう。戦国BASARA3で大谷吉継が徳川方を疫病まみれにして大打撃を与えるようなステージがあったらと思うと……。

投稿者:九嶋秀二郎 (公開日：2010年2月18日 05:34/最終更新日：2010年10月16日 05:44)

記事別アクセスランキング(2020年3月-2021年3月)