FGO 英霊剣豪七番勝負の『魔界転生』パクリ騒動に思うこと
始めに『Fate Grand Order 亜種特異点III 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負』は『魔界転生』の盗作か? いや、盗作ではない。文章のコピペや盗用ではない。アイデアやコンセプトの模倣は著作権侵害行為には当たらない。
ならば、パクリか? ここ38年間のロボットアニメはガンダムのパクリという人にとってはパクリ。
現在にまで続く『魔界転生』のメディア展開
「バトル物」ジャンルを生み出した忍法帖シリーズの最高傑作『魔界転生』は50年以上前とは思えない作品。2017年現在もメディア展開されている。漫画(とみ新蔵版)はリイド社のワイド版の発刊日を参考にした。
1964年-1965年:小説連載
1981年:映画(千葉真一主演)、演劇(同左)
1987年:漫画(石川賢版)
1996年:アニメ
1997年:漫画(鳥羽笙子版)
1999年:漫画(とみ新蔵版)
2003年:PS2ゲーム化、映画(佐藤浩市主演)、漫画(九後奈緒子版)
2006年:演劇(中村橋之助主演)
2011年:演劇(関智一主演)
2012年-2017年:漫画連載中(せがわまさき版)
『英霊剣豪七番勝負』はわざと似せている
間違い無く制作者サイドはオマージュとしてやってる。Fateシリーズの生みの親である奈須きのこさんは過去のインタビューで度々、学生時代に『魔界転生』を読んで多大な影響を受け、自分で『魔界転生』をやりたくて書いたのがFate、Fateはもともと魔界転生のオマージュとインタビューで述べている。
2017年ネット上で読める記事ならドワンゴの運営する電ファミニコゲーマーの「【寺田P×奈須きのこ:対談】決戦!『スパロボ』VS『Fate』――と思いきや、奈須きのこのスパロボ愛が炸裂して、寺田Pから濃ゆい制作秘話が聞けちゃった!」で言及されている。
古くは『月姫』の座談会の頃から述べている。なお、多大な影響を受けたのは原作小説版ではなく石川賢先生の漫画版としている。
そんなFateで『魔界転生』と同じ時期を舞台にして剣豪が出てくる話を書く。そこに『魔界転生』のネタを入れる。あんなウルトラマンっぽい水着来たエレナさんや超電磁スピンするエリちゃんの演出する人達が『魔界転生』のネタを入れてこないわけがない。
ずっとFateの原点として語っていた作品の要素をいつものノリで組み込んだ。サーヴァントの衣装や宝具演出やギャグパート、番外のイベントではなくメインストーリーでやった。このメインストーリーでやったということがパクリ騒動として大きくなった原因だと私は考える。
また、Fateと言えば『魔界転生』のオマージュ、奈須きのこさんと武内崇さんの2人が10何年も好きと言っているのを知っていた旧来のFateファンと人気のゲームアプリだからやり始めた新規のファンの認識の違いも感想に影響を与えているだろう。
「英霊剣豪七番勝負」をプレイし終わった個人のネタバレしかない感想
私が「英霊剣豪七番勝負」を読み終わったのは昨日だが、15日頃に『魔界転生』のパクリとネット上で騒がれていた頃はネタバレを避ける為にタイトルだけ読んで無視していた。
だから、パクリという記事のタイトルを見ただけの状態では黒幕は徳川幕府を恨む魔術師。柳生宗矩、宝蔵院胤舜、天草四郎と戦い、事件解決後に巌流島の再現という原作小説版を思い浮かべた。
プレイし終わってみると、黒幕は並行世界から渡ってきた天草四郎と安倍晴明のライバル・蘆屋道満。蘆屋道満に関しては続く。柳生宗矩や宝蔵院胤舜とは戦ったが、黒幕の天草四郎の固有結界を衛宮士郎の姿をした味方サーヴァント・千子村正が切り裂き、風魔小太郎が止めを刺す。その後に巌流島と言える宮本武蔵と佐々木小次郎の一騎打ち。蘆屋道満は倒されたフリをして離脱。
『魔界転生』としては、そもそも主人公が柳生十兵衛ではなく宮本武蔵とカルデアのマスター。舞台が紀州ではなく下総。英霊剣豪と転生衆の共通人物は柳生宗矩(人間)と宝蔵院胤舜(サーヴァント)の2人。魔界転生を生み出した原作の黒幕である森宗意軒や由井正雪、徳川頼宣がおらず、転生衆に親を殺された娘たちを助け、柳生十人衆と共に仇を討っていく流れも無い。個人的にはヒロインと言って良いのではないかと思うクララお品もいない。
原作小説とはそれほどでもないが映画の方だと……
似ている所もあるが違う点も多くそれほどでもない、という感想が1981年版の映画『魔界転生』で考えると、魔物となった人間を切る為に村正の打った妖刀がいる。江戸城の中で十兵衛と戦いが為に魔界転生して敵になった宗矩と一騎打ち、黒幕の天草とラストバトル。宗矩の戦う動機だったり、武蔵ちゃんを隻眼にしてわざわざ十兵衛っぽくしたり、最終盤の第十五節はわざと似せているとしか思えないという感想になる。
一方、前から布石のあった巴御前、風魔小太郎と母親といえる存在、源頼光と酒呑童子の生前の敵同士がタッグを組んでる様、そして、千子村正が天草四郎の固有結界と厭離穢土城を都牟刈(=天叢雲剣=草薙剣)で切り裂く辺りはBGMもあいまって原作の「無限の剣製」を彷彿とさせ、佐々木小次郎が燃える厭離穢土城の中で宮本武蔵と立ち会う様は今まで不遇な門番として特にメインの扱いが無かった小次郎が最も輝いた瞬間もあった。
通しで見ればFateとして成り立っており、武蔵を十兵衛っぽくして宗矩と一騎打ちするシーン、黒幕の天草四郎と燃えさかる"穢土城"等のわざと似せたと思える部分をオマージュと捉えるか、パクリと捉えるかは受け手次第なのではないかと思う。
なお、個人の受け取り方は兎も角、著作権を侵害されたと思うかどうかは権利者。著作権侵害行為かどうかは裁判所の判決による。
肝心の石川賢版はと言えば……
ああ、それとルチフェロなりしサタンとサタンがよく出てくる所、英霊剣豪の頭を切り飛ばしても平気な所、城下町が地獄化して人間が化け物になる所は石川賢版に似ている。石川賢版の魔界衆(原作小説は転生衆)は顔に大穴を開けられても死なない上、サタンを地上に呼び出して暗黒の世界にしようとする。
ただ、肝心要の柳生十兵衛が神かルシュ・ファル(作品内表記まま)、イエスとも同一人物かも知れない。天草四郎はサタンの一部で途中で倒されるも2度目の転生を果たして復活する。柳生宗矩は転生前(途中)に一番に倒される。
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